機密性が高い新築住宅は、空気の機密性能が高いため湿気が逃げ難い住宅です。また、断熱性能が高いため冬季でも室内温度が高いため、温度差による結露等の水分が潤沢にあるとカビが非常に発生し易い環境にあります。
また、新築特有の工事時に溜まった雨水や建材の等の水分が逃げ難いため、新築から数年間は特にカビに注意が必要です。
・主なカビ原因
カビは温度20〜30℃、湿度70%以上、空気が停滞することにより発生します。生活する中、普段目に付くところでカビが好む環境となる箇所は少ないですが、家の中の至る所にカビが好む環境となる地点が存在し、知らずに繁殖します。
・床下、床下からの湿気によるカビ
建築時のコンクリート等に含まれた水分は、完全に乾くまで数年の期間が必要となります。
このため1階の床下や密閉されたクローゼット等では床下から湿気が上がり、空気の通りが悪いことから湿気が籠ります。この空気が籠る箇所を意識的に換気を行わないと溜まった湿気と適度な室温によりカビが発生し易い環境となります。
・冬季のカビ
機密性の高い現代の住宅は、24時間換気装置等を利用した積極的な換気を行わない限り、湿気の逃げ場がなく、温度差が生まれる何れかの箇所において結露などによる湿気が溜まり、カビが発生し易い環境となります。
24時間換気装置は、シックハウスだけでなく、湿気の逃げ道の役割もはたしています。
・カビの予防方法
住居のカビ予防では、カビが繁殖する湿度とならないよう維持することが最も重要となります。
生活空間の湿度が高くなくても床下からの湿気が籠るクローゼット(押し入れ)。屋外や他の部屋との温度差による結露により湿度が高くなる箇所があればカビが発生します。
このような場所の湿度が高くならないよう、室内の湿度をコントロールする。意識的に空気を通すなどして乾燥させることが大切です。
・湿度の上限は50%程度目安として、必要以上に湿度が高くならないように維持する。
料理やお湯を沸かす行為では、換気扇を回すなど工夫することで不必要に加湿されることを防ぎまず。
・クローゼット(押入れ)等の空気の籠る箇所は、扉を定期的に開けるなどして空気の入替を行う。
クローゼット(押入れ)内部の収納物は空気が通るよう簀子を利用する。奥の壁との間を隙間を開けるなど内部の荷物を詰込みすぎないようにする。頻繁に開ける要件の物を収納するなどして、空気が籠らない工夫をする。
・洗濯物の部屋干し
洗濯物の部屋干しをする時は浴室等の換気扇のある場所で行い、乾くまで換気扇を使用する。
除湿機が利用できる時は除湿機を使用する。
・お風呂の使用後
お風呂の使用後は換気扇を回して浴室の湿気が他の部屋に広がらないようにする。
・洗濯機の乾燥機能
洗濯機のドライ機能を使用する時は、洗濯機から発生する湿気が室内に広がらないように換気扇を使用する。
・乾燥材の性能を過信しない
収納等に広く使用される乾燥材は、長期間をかけて徐々に湿気を吸収する製品です。吸湿する能力は除湿機と比較し、除湿機1日分の量を乾燥材は1か月程度の期間をかけて吸収するイメージの能力です。
・空気清浄機を利用する
多くの空気清浄機でカビの胞子を吸着除去や不活性化させることができます。浮遊するカビ胞子が減少することでカビの発生リスクを低減させることが出来ます。
・除湿機を利用する
除湿機により湿度を低下させ、結露の予防や浴室の水気等を乾燥させます。電気代がかかりますが、強力に湿度調整を行うことが出来ます。
目安として一日に一度完全に乾燥させることができれば、カビを大きく予防することができます。
詳しくは、
新築のカビ原因と対策方法>
カビ対策のおすすめ除湿機は使用時期と場所での機種選択が重要
<冬季>
・加湿器はエアコン使用時のみ使用し、ファンヒーター使用時は加湿器を使用しない。
ファンヒーターは灯油を燃焼させる過程で多量の湿気(水分)を発散させます。このため、室温が上昇することで湿度は上昇しなくても、室内の水分量が増加します。
・室温が下がる前に一度換気を行う
室温が下がると空気中に含むことが出来る水分量の上限が減ることで、相対的に室内の湿度が上昇します。
特に冬季のリビングなど夜間に大きく室温が下がるようなライフスタイルでは、溜まった湿気が温度が下がることで一気に結露などで現れます。
・24時間換気装置の利用
冬季等の外気温が低い時、外気の湿度が高くても含まれている水分量は比較的少ないです。室温が高くなると相対的に湿度が低くなるため、冬季では湿度コントロールに効果的です。
<梅雨>
・不必要な換気を控える
湿度と気温が高い屋外の空気は、冷房等で冷えた室内では取り込んだ空気の湿度が更に高まり結露等の原因にとなります。
シックハウス対策の24時間換気では、常に高い湿度の外気を取り込むため、湿度が高い状態で維持されることがあります。
・カビの除去、殺菌方法
カビが既に発生しているとき、空気中に刃カビの胞子が浮遊しています。除去の作業中、胞子が空気中に飛散するため換気を行いながら作業を行います。
胞子がなるべく飛散しないよう、硬く絞った雑巾でふきとり、乾燥させてから殺菌します。
・エタノールでの殺菌がおすすめ
カビの殺菌ではカビ取り剤や塩素系白剤等で殺菌することが出来ます。しかし、子供等がいる室内の使用では難しく、使用する材質の変質・変色を起こすこともあります。
害の少ない殺菌方法として、カビはエタノールで効果的に殺菌することが出来ます。
エタノールは酒に含まれるアルコールと同じもので、「サトウキビ」を原料とし、カビのタンパク質を分解して死滅させるため効果的に働きます。また、使用後でも気化するのが早く、すぐに乾きます。
使用にあたり害や的影響が少ないですが、ワックスのフローリングや塗装されている箇所では塗料等が溶けることがあります。また、可燃性であるため使用中及び完全に乾くまで十分な換気が必要となります。
・市販されるエタノールの種類
・無水エタノール
エタノール濃度が99.5%以上の純粋なエタノール。揮発するのが非常に早いため、殺菌効果が現れるまでに揮発するため濃度は高いが逆に殺菌能力が低い。
無水エタノールを水で希釈して濃度を調整することで消毒用エタノールとして使用できます。
・消毒用エタノール
エタノール濃度が76〜81%程度に調整されたエタノール。エタノールは濃度70%程度がもっとも殺菌力が高く、消毒(殺菌)を目的に調整されたエタノールです。
・消毒用エタノールと消毒用エタノールIPの違い
消毒用エタノールにIP(イソプロパノール)を添加したものが消毒用エタノールIPです。
IP(イソプロパノール)は、エタノールとほぼ同等の消毒効果があるアルコール類です。消毒用エタノールに配合されることで酒税が免税され、販売価格が安価となっています。
消毒用エタノールと消毒用エタノールIPの用途に違いはなく、カビの殺菌など通常の使用では安価な消毒用エタノールIPで十分な効果をえることが出来ます。
・発生したカビ
リビングの角。壁面収納の奥に発生したカビ。
壁から伝わる冷気により結露が発生し、空気が籠ることからカビが発生した。
リビングを温め加湿したことにより冷える箇所に結露が発生し、室温によりカビが繁殖した。 |
・エタノールによるカビの除菌
ふき取った後にエタノールを吹きかけでカビを除菌します。
エタノール使用後はしばらくアルコール臭がしますが気化が早く、多くの場所で後も残りません。
しかし、エタノールには漂白作用などはないため、見た目に大きな変化はありません。 |
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カビ対策のおすすめ除湿機は使用時期と場所での機種選択が重要