化学物質濃度を早期に低下させる方法として、温度差と湿度を用いたバーンアウト(ベイクアウト)法があります。
シックハウスの原因となる化学物質は建材や家具等から揮発して室内濃度が高まることで症状が発症します。
そこで意図的に揮発しやすい室内環境を作り、纏めて揮発させる方法がバーンアウト(ベイクアウト)法です。
通常春から夏にかけてが化学物質が揮発しやすく、人工的にその環境を再現させます。
・メリット
手軽に行うことが出来る。
短期に化学物質を放出(揮発)させることで、その後の室内での化学物質濃度を低下させる可能性がある。
・デメリット
建材や家具等が温度差と多湿にすることで剥がれや歪みなどで痛むことがある。
本来揮発し難かった建材の奥の成分が表面に現れ、あらたな原因がうまれることがある。
作業後、一旦揮発した化学物質が室内表面に付着する等して、暫くは元の化学物質濃度より高い時期がうまれることがある。
冬季に行うと、外気温との大きな温度差から結露による弊害がおきる可能性がある。
・方法
1.作業準備
高温多湿を好まないOA機器などを搬出する。(温度湿度がコントロール出来ず、室温40度以上、湿度80%以上となる懸念がある場合のみ)
棚扉等を開放し、表面積を広げる。
壁などに密接した家具を離し、空気の通り道をつくる。
窓を閉め切り、室内を密閉する
日差しが入る部屋であればカーテンをあけて日差しを入れる。
2.環境作り
・室温、湿度を上げる
室内温度を30℃〜35℃、湿度60%以上となるようにする。長時間高温多湿とするため火災予防の観点から火器以外の熱源(エアコン・オイルヒーターなど)により室温を高める。
室内温度30℃〜35℃は、家具や建材を痛めないための温度であり、温度が高いほうが効果が大きいが、家具や建材へのリスクが大きくなる。
結露等の問題から
夏場では、40℃前後、春・秋の外気温が15℃以下であれば、35℃以下。
外気温が10℃未満であれば、屋外の空気の乾燥度合いを考慮にいれて作業を考慮する。雨の日や多湿となる地域ではお勧めできない。
・多湿とする
加湿器等を用いて湿度60%以上となるようにする
加湿器は大量の湿度の温度と供給できるスチーム式加湿器がおすすめです。
・空気を循環させる
扇風機・サーキュレーターを使用し室内の空気を循環し、湿度・温度が部屋全体に広がるようにする。
・注意点等
密閉住宅では熱源に石油ヒーター等を用いると火災の問題だけでなく、酸素欠乏や酸素欠乏に伴う不完全燃焼により室内が重度に汚染等が起こる可能性がある。
予め入口から見える範囲に温湿度計を置いておくと、室内環境が把握しやすい。
多湿すぎるとサッシ等で多量に結露してしまう場合があり、湿度が高まり過ぎる場合には作業途中で加湿器を止める方が良く、入り口付近に加湿器があるほうが作業しやすい。
夜間に行うと深夜電力により電気代が安価になる。しかし、屋外との温度差が昼間の作業より大きく、また夜露等により屋外の湿度が高いことから結露による弊害が大きくなる。
作業途中及び、作業後に入室する際は室内空気が汚染されていることを考慮し、窓の開放及び換気扇を動かして直ちに退出する。
3.環境の維持
高温多湿状態を長時間(6時間以上)維持する。
4.換気を行う
1時間程度換気を行い、揮発した化学物質を屋外に排出する。
1〜4を数回繰り返す。回数が多いほど効果が大きいが通常3回から5回程度で一定の効果が期待できる。
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